今日は発声練習についてお話しましょう。
皆さんは発声練習って聞いたことがありますか?
劇団員などが輪になっておなかに手をあてて足を開いて大きな口をあけて
「あ・え・い・う・え・お・あ・お」
など大声を出している…といったイメージでしょうか?
実はアレは単に大声を出しているだけではないのです。
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まずはまっすぐ立つ
まっすぐ立つことから始めましょう。
1.肩幅くらいに足を開き
2.猫背になったり、胸を張り過ぎないようにしましょう。
3.あごは軽く引いて、頭を天井から引っ張られているように立ちます。
それがまっすぐ立っている状態です。苦しいですか?
力は入れなくて結構です。むしろ入れないでください。
感覚がよくわからないうちは後頭部、肩甲骨、おしり、ふくらはぎが壁に接する気持ちで壁際にたってみましょう。その感覚をつかんだら半歩前進して壁から離れてみてください。
姿見など大きな鏡があると姿勢を確認しやすいので、もし部屋に大きな鏡がある人はそれでご自分の姿勢を確認してみてください。
さて、まっすぐ立つことができましたね?
では次に意識することです。
発声練習は力を抜こう!
発声練習というとどうしても「一所懸命声を出す」と思って、力いっぱい叫ぶ人がいます。
もちろん、必殺技や叫ぶシーンなどがあるのですが、発声練習は叫ばなくて結構です。
むしろ、力を抜いても大きく聞こえる、ノドをしめない開いた声を出す練習をしましょう。
叫ぶときに人の肉体はどうなっているでしょうか?
あなたのことが好きーーー!
屋上から愛の告白をするのを想像してみてください。
課長のばっかやろーーー!
会社で嫌なことがありました。
カラオケで大声を出してストレス発散をします。
こんな時、どんな絵が浮かびますか?
全身の力をこめて、目をギュッとつぶって、手は拳を握り締めて…力を入れると人の身体はこわばります。
実はこんな状態で喋り続けるとノドを潰します。
発声練習をする時は力を入れないことを心がけましょう。
声優は叫ぶ機会が非常に多いです。
・襲われそうになって悲鳴を上げる人
・「まて!」なんて叫びながら現れるヒーロー
・「貴様何者だ!?」と聞き返す悪役
・全力で名乗りをあげるヒーロー
・戦いの掛け声
・必殺技や断末魔
いつのまにかヒーロー物になってしまいましたが、普段私たちがしゃべるのよりも大声を出す機会が多い声優。
ゲーム収録ともなると何パターンもの掛け声を収録したりします。
ここで重要になるのがノドを痛めにくくする発声方法です。
重要なのはノドの開き
皆さんは叫ぶとなるとどうしますか?
大きく息を吸って、渾身の力をこめて叫ぶのではないでしょうか?
さきほどから「ノドをしめるな」「力をいれるな」ということを書いていますが、具体的にどうするのか、やって利点があるのかというお話をしたいと思います。
確かに人が驚いたり、力がこもると身体はこわばりノドがしまります。
しかし、ノドがしまった状態で発声をするとどうなってしまいますか?
はい、そうですね。
すぐにノドをからしてしまいます。
では少しでもノドに優しい発声方法とは…?
ポイントはノドを開くことにあります。
呼気の量を多くすることでボリュームは上がります。
ノドを勢いよく空気が通り声帯の震えを生み出す時にノド回りに余計な力が入っていると、声帯にまで力が入ってしまいます。
これではすぐにからしてしまいますね。
ノドを開くにはどうすればいい?
では、ノドを開くにはどうすればいいのでしょうか?
実は我々も生活している上で、自然とノドを開いて空気を通している時があります。
呼吸している時?そうですね。
では、声を出す(声帯を震わせている)状態ではどうですか?
そうです。あくびをしている時です。
試しにあくびの真似をしてみましょう。
口をあけて体を伸ばして…
ふああああああ~~~!
実際にあくびが出てしまってもいいです。さて、うまくできましたか?
ではもう一度やってみましょう。
と、その前に…あくびをしている時のノドの開き具合と声の出す様子を意識しながらやってみましょう。では、どうぞ!
ふあああああ!
どうですか?ノドの奥がぐわっと開いた感じがしますか?
それがノドが開いた状態です。
勿論、そのままではあくびをしたような間抜けな叫びになりますよね。ですので、ここからしっかりとした叫びを残しつつノドの開きを意識する調整を各自で研究してみてくださいね。
人間の体は楽器のようなものです。声を操る声優はその演奏者のようなもの。
自分という楽器の演奏練習をやって、少しでも狙った音が出せるように日々練習を忘れずにやってください。
魔法の言葉「あえいうえおあお」
この言葉が養成所や劇団などで滑舌練習によく用いられる言葉です。
50音というと普通は「あいうえお」ですよね?
しかし、発声練習では「あえいうえおあお」を使います。
変則五十音なんて呼ばれたりしています。
まずはこれを覚えましょう!
では、さっそくやってみましょうか。
「あえいうえおあお」
これを伸ばして言ってみましょう。
声の出せる環境でリラックスして、まっすぐ立って、息を吸って~…
はい、ストップ!
息を吸ったら身体がこわばっていませんか?
力は入れないようにしましょうね。
腹式呼吸を意識してみましょう。
腹式呼吸に関しては↓こちらを読んでみてください
はい、では気を取り直して…どうぞ!
あーえーいーうーえーおーあーおー
はい、結構です。なるべく大きな声で(ノドはしめないで!)一定の音量で、一定の長さで発声できましたか?
では、次は弾んで言ってみましょう!
あーえーいーうーえーおーあーおーではなく
あっ、えっ、いっ、うっ、えっ、おっ、あっ、おっ
と弾んで言ってみましょうね。
では、どうぞ!
はい、結構です。
どうですか?ちゃんと弾んでましたか?
まずは変則五十音を覚えることと伸ばして言うこと、弾んで言うこと
これを意識して練習してみましょう!うまく出来ているか録音してみてもいいですね。ちなみに変則五十音は通常の五十音と同じようにア行だけでなく、他の行もあります。皆さんはわかりますか?
変則五十音のパターン
さて、それではほかの行に関して考えてみましょう。普段使っている五十音にもア行、カ行、サ行などがあるように変則五十音にも各行が存在します。
そんなの『あえいう』の順番で『かけきく』って感じで当てはめればいいんですよね?
正解です。
ですが、いちいち表とにらめっこして当てはめると時間がかかって仕方ありません。ココで少し国語の授業みたいな話になるのですが。
母音と子音を意識する
という考え方をオススメします。
母音(ぼいん)って覚えてますか?
平たく言うと「あいうえお」の事です。
では子音(しいん)は知ってますか?
例えば「かきくけこ」とローマ字で表記するならどう表記しますか?
「KA KI KU KE KO」ですね?
このローマ字の頭のKを子音(しいん)と言います。
ですので五十音表を指さし確認しながら「あ、え、いう…か、け、きく」なんてしなくても「あえいうえおあお」の頭にKの音をつけるとカ行に早変わりするのです。
ア行(あえいうえおあお)
A E I U E O A O
カ行(かけきくけこかこ)
KA KE KI KU KE KO KA KO
そう考えると「かぁ、けぇ、きぃ、くぅ…」とかけきくけこかこが自然と言えるようになります。サ行だったらSの音、タ行だったらTの音…
もちろん毎日練習していたら、それさえ考えなくともスラスラと音で覚えてしまいますが、覚えるまでは上のようなローマ字を当てはめるようにして考えましょう。
これで「あえいうえおあお」さえ覚えていれば他の行も迷わず言えますね!
母音と子音で考えれば「あえいうえおあお」さえ覚えていたら子音を当てはめるだけで全て言えるようになる!
さて、全て言えましたか?
わかりにくいヤ行とワ行
ココでつまずきやすいのがヤ行とワ行です。
やゆよ?わを…ん?
どう当てはめていいかわかりませんよね?
ここもローマ字で考えてみましょう
「やゆよ」という音はどこに属しているのか?
「YA YU YO」と表記できるので
や→ア段
ゆ→ウ段
よ→オ段
そうなのです。ヤ行はやゆよの間にイ段、エ段が隠れていると考えてください。
ですので「やいゆえよ」を「あえいうえおあお」に当てはめると…
「やえいゆえよやよ」
になることがわかりますね?簡単ですよね?
ではワ行はどうでしょうか?
「ん」という音は特殊な音ですので、ワ行に属しているように考えがちですが除外します。ですのでワ行は「わを」で構成されます。
間に「いうえ」が隠れていると考えてこれをヤ行のように当てはめると…
「わえいうえをわを」
になるのがわかりますか?正確には古典で習うように「ゐ」や「ゑ」などがありますが、わかりやすいように上のようにしてます。現代では中々「ゐ」とか使いませんしね…(笑)
さて、長々と解説してしまいましたが理解できましたか?
あとは実行あるのみです!前回の練習方法を参考にして変則五十音を使った発声練習に挑戦しましょう!
スラスラ言えるようになるまで継続して練習あるのみです!
それでは練習頑張ってくださいね!
また次回お会いしましょう!