ボイスサンプル形式の試験で陥りがちなミス5選

シェアする

本日はボイスサンプルを添削してわかった生徒が陥りやすいミスをいくつかご紹介したいと思います。

ボイスサンプル

生徒の中には定期的にボイスサンプルというものを作ってもらいます。
これは画家や写真家で言うところの『ポートフォリオ』に近いイメージです。

この役者はどんな芝居をするのか?

どんな声なのか?

どれくらいの幅があるのか?

などなどを聴いてもらえる重要な営業ツールです。
養成所では査定も兼ねてボイスサンプルを用意してもらうことがあります。また自分で用意したもの以外にこちら側から課題を当日に配ってやってもらう場合もあります。

生徒に用意してもらい練習してきたものは、ある程度の形になっているのですが、当日こちらが提示した課題を読んでもらうと急にクオリティが下がることが多々あります。(勿論、出来る人もいますよ)

【追記】こんなミスしてませんか?

ここで少しだけこんなミスが多いなというものをご紹介します。

  1. 自分の考えた演技プランしかできない
  2. 初見に弱くてよく読み違えたり引っかかる
  3. 漢字や言葉が正確に読めず意味もよくわからない
  4. シチュエーションやキャラを想像できない
  5. 台本をもらったらとりあえず自分のセリフだけ読む

心当たりはないですか?
自分の練習してきたものだったら自分で繰り返しチェックしたり先生や友達にアドバイスをもらってある程度のクオリティまで作ることができます。
しかし、急に渡された原稿だとそれができません。自分で台本やキャラクターを掴んで、考え、言いにくい言葉をチェックし、正確に読むには…などなど時間内でやるべきことはたくさんあるのです。

1、自分の考えた演技プランしかできない

これは自分で用意したものでもよく起こることなのですが、自分で考えたプランでは良い芝居ができるのに、こちら側が演技プランを提示したり修正を求めると、途端にできなくなってしまうという現象です。

練習で何度も同じように自分の「正解」へと作り上げたものだから、それ以外の表現方法を考えられず「正解像」にしばられてしまうのです。

正解を求め何度も練習を繰り返すことは素晴らしいことなのですが、あくまでそれは「自分が思う正解」です。それがしっかりと成立すればいいのですが、周囲とのやり取りで成立しなくなることもあります。その場合、柔軟に対応できるようにならないといけません。

相手がいないボイスサンプルにおいてもディレクションされることはあります。
「もっとこうした方がいい、こうしたらどうか?こうしてみて」
などと言われることがあります。その時に対応できるようにしておきましょう。

2、初見に弱くてよく読み違えたり引っかかる

いわゆる「初見によわい」というやつです。
急に渡されたものに対して極端に弱く、文章を目で追いながら読むのが慣れていないため度々間違えたり引っかかってしまう状態です。

初見の弱さは克服する必要があります。
普段から様々な文章を音読するなどして慣れておきましょう。

3、漢字や言葉が正確に読めず意味もよくわからない

先程の2番に関連することですが、漢字や言葉を知らないことも多いです。

ありとあらゆる言葉を知らないといけないわけではないですが、普段から読めない漢字を調べておいたり、読書をしていて知らない言葉があったら調べる、といったことを習慣づけておきましょう。

知らないまま台本を読むということは、そのキャラクターが何を言っているのかわからないまま喋っていることになるので演技もチグハグなものになってしまいます。

なるべくそのような機会が少なくなるよう普段から活字に触れましょう。

4、シチュエーションやキャラを想像できない

知らない言葉を知らないまま喋るのもこわいことですが、そもそも状況やキャラクターを掴んでいない状態で喋るのも恐ろしいことです。

その人がどこで、何故、誰に、どんなことを言っているのか…などなど
それを想像できないままセリフを言わないようにしましょう。

また脚本の意図まで汲み取ることができればなお良いです。
読解力を養って色々な部分を膨らませていきましょう。

5、台本をもらったらとりあえず自分のセリフだけ読む

自分の読む部分は大丈夫だ!と準備万端になっても油断してはいけません。
しっかりと相手のセリフも読むようにしましょう
自分のセリフをどのように言おうかということばかり考えてしまいがちですが、相手に言われて気持ちが動いたり言い返したりするものです。

自分のキャラクターがそのようなセリフを言う理由が相手のセリフに隠れています。

また相手のセリフにも自分がどうセリフを言うべきかヒントが隠れています

「黙ってよ!そんな大きな声で言わなくてもわかるって」

と相手が言っているのであれば、
当然自分のセリフは大きな声で言わなければいけません

「どうしたの?そんなにあわてて!」

と言われたらあわてないとこのようなセリフが引き出されません。

自分のセリフだけでなく相手のセリフまでしっかり読み込みましょう。

それっぽい、ではいけない

ボイスサンプルや査定では瞬間的に演じないといけないため、どうしても「それっぽい」かどうかを求めがちです。

確かにキャラクターを想像させるためには典型的な芝居が必要とされることもあります。しかし、それっぽい芝居をすれば必ずしもいいというわけではありません

そして、先程挙げた注意点を普段から意識するだけでミスは少なくなります。
初見の弱さや漢字や言葉の知識、滑舌や発声は一朝一夕で出来るものではありません。

基礎練習ってやっぱり大事

これらを克服するためには圧倒的に普段からの鍛錬を忘れないようにしましょう。
そうすれば急なオーダーにも対応できる力がついてきます。

「原稿の当日渡し」

ナレーションの現場ですと当たり前ですし、アフレコの現場でもストーリーの漏えいを恐れて事前に台本や映像を渡さない現場もあります。

最近だと声優さんがイベントMCやラジオ、インターネット生放送などをやる機会も増えています。台本や進行は必ずしも事前にもらえるものでもないですし、当日変更されることもたくさんあります。

こわいですよね?

でもプロは、それを当たり前のようにやってのけるのです。

でも僕がやりたいのは声優でイベントやラジオは必要ないです

そういう人もいるかもしれません。
しかし、最近では演技だけでなくそういったイベント出演などのオファーも多いです。

そして、たとえそれらを断ったとしても、アニメや吹替えの現場で台詞が変わったり急に役をふられることもあります。そこでものを言うのは基礎力です。

プロになるからこそ…

生徒の中にも慣れてくると発声練習や滑舌の練習などを疎かにする人もいます。

しかし、忘れないでください。やらないと退化します。筋トレと一緒です。

このブログを読んでくださる方々は基礎を馬鹿にすることなく取り組んでいきましょうね!

それがいつか現場で役に立つと信じて、短時間でも基礎鍛錬をやっていきましょう!

本日はココまで!
また次回お会いしましょう!