台本読解と役作りとは?

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雨模様な今日この頃、いかがお過ごしですか?
雨はどんよりした気分にもなりますが、大声を出して元気に頑張りましょう!

さて、本日のレッスンは台本の読解・役作りについて。
声優に限らず役者は台本を理解する必要があります。

何故このキャラクターは泣いているのか?
何故このキャラクターは怒っているのか?

それを理解し、表現する必要があります。

では、台本読解はどうすればいいのか?

役への理解

読解をするうえで、まず必要なのが共感です。
過去や現在の置かれている状況を考えて自分のセリフだけでなく、
相手とのやりとりから読み取りそのキャラクターの感情に共感する必要があります。

例えば

○仲のすごくいい友達
○仲が悪い人
○恋する相手

その3人にそれぞれ【おはよう】というだけでも言い方は変わってくると思います。

○仲がいい場合:
「こいつとは会えて楽しい」

○仲が悪い場合:
「こいつとは喋りたくないけど挨拶しないとな」

○恋する相手の場合:
「あの人に話しかけたいけど。。。挨拶くらいなら。。。緊張するぅ」

などなど、色々な感情をイメージして「おはよう」という言葉に乗せられます。

さらに言えば、「嫌いな人には挨拶もしたくありません」という意見もありそうです。
しかし、台本に書いている以上そのセリフは言わなければならない。

それでは、どうするのか?

その理由を考えるのが役者の仕事です。

例えば
「一方的に嫌っているが仲が良いふりをしないといけない」とか
「目があって渋々挨拶した」とか
何かしら嫌いな相手に挨拶しないといけない事情があります。

台本のほかの部分に書いているかもしれませんし、想像して補完する必要があるかもしれません。

それが台本読解です。

それを考えずに「台本に書いているから言った」というだけじゃリアルな台詞にならず共感できていないのです。

台本に書かれているのはあくまで骨組みであって、
事情を想像したり動機づけをする肉付けの作業は役者の仕事です。

「役作りのためにそのキャラクターの過去をノートいっぱいに書いてこい」なんていうアプローチをさせる演出家もいます。コンスタンチン・スタニスラフスキーやリー・ストラスバーグなどの著名な演出家が広めたメソッド演技法などもその代表的なアプローチ方法です。

最初からそこまでやらずとも、そのキャラクターの性格や状況、ストーリーやシーンからなぜその台詞を相手に言っているのかを考えてみましょう。

このキャラクターの性格だと、状況だと、関係性だと…

簡単に「この台詞をどんな感じで言えばそれっぽく聞こえるだろう」とアプローチするのではなく、一言の台詞にも考えられることは沢山あることがわかるでしょう。

それが役作りにつながります。

何を、誰に、何で言うのか考えてみよう

役者は役に共感し、客も役に共感する

役者は役の感情の流れを理解し、それを表現する必要があります。

ここでもうひとつ考えてほしいのが「どうすれば伝わるか」ということです。

その芝居をみて観客はなぜ感動したり一緒に怒ったり、ドキドキしたり心を動かすのでしょうか?

実は役者だけではなく、お客さんも共感しています。
いわゆる「感情移入」というものです。

感情移入するから自分のことのように気持ちが動くのです。

では感情移入してもらうためにはどうすればいいのか?

さきほど「共感するから感情移入する」と書きましたが、人が感情移入する時は「うんうんあるよね。わかるよ」と共感すればするほど没頭できます。

同じような状況に置かれたことがあったり、自分との共通項が多ければ自分のことのように思えてくるのです。

また、状況が違えど役がどのように考えているのか感情のプロセスがしっかりと明示できていれば感情移入してもらえることが多いです。

「こいつはこんなことを考えて悩んでいるのか」
「こうしたいのに出来ないでいるのか…頑張れ!」

共感して応援してもらえると没頭してもらえます。

だから人は物語をみていて感動したり心動かされるのです。

感情移入してもらえるように共感を得られる役作りを心がけましょう

役者としてどのように台本と向き合うか?

「主役ならまだしも一言の台詞じゃ共感もなにもありません」

特に新人のうちは台詞が一言二言なんてことも珍しくありません。
しかしだからといって適当に台詞を吐いていいわけじゃありません。

キャラクターも1人の人間で、その物語はその人生の一部分しか切り取っていません

「あ、今挨拶した子は彼のこと好きなのかな?」

そんなドラマが垣間見えるだけで物語が説得力を増します。

お客さんが共感するのはどのキャラクターかわかりません。
もしかして貴方の一言で恋する相手に緊張しながら声をかけたことを思い出す人がいるかもしれません。

物語の中心である主人公に感情移入することが多いですが、全体を俯瞰してみているため、人によっては友達であったり、先生であったり、親であったり、自分に近しい状況やキャラクターに感情移入します。

感情移入するからキャラクターと一緒にはらはらドキドキできるのです。

そこで役者の役作りが甘く台詞も共感が得られなければお客さんは一気に冷めてしまうのです

役作りや読解について少しでも皆さんのヒントになれば幸いです。

次のレッスンもお楽しみに!