台詞は読むのではなく喋る

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さて、暑い毎日になってきましたね。ついこの間まで気温が安定せずに半袖で夜に寒い思いをしたり、長袖を着て汗だくになったり体調も崩しやすくなってました。

皆さんは体調崩してないですか?

さて、暑さに負けずに熱くレッスンしていきましょう!
本日は台詞の言い方について…

台詞を読もうとするな!

「台詞が上手く読めません」
「どうしたら上手く台詞を読めるようになりますか?」

基礎練習を日々頑張って、いよいよ台本を渡されて意気揚々と台本を読んでみたものの
講師から「固いよ」「もっと自然に」なんて言われてませんか?

ワタシの周りにはそんな人がチラホラ出てきています。

「台詞を上手く読む」というのがそもそも間違いなのです。

台詞は読むのではなく、喋るのです。

会話は予想できないもの

そもそも、私たちはお喋りをする時にどうしてますか?
相手の言うことも含めて全部知っていて話している、なんて人はいないでしょう。それは予知能力者か未来人かエスパーの類です。私たちはある程度会話の内容は頭にあるものの相手の相槌や反応などによって会話の流れは柔軟に変わるものなのです。

昨日美味しいパンケーキを食べに行った話をするとします。

A「昨日パンケーキ食べにいったんだよ」
B「へぇ、どこに?」
A「新宿の○○だよ」
B「そうなんだ!あそこ行ってみたいんだよね」
A「うん、すごく美味しかった!」
B「でも並んだでしょ?」
A「そうだね30分くらいかな?」
B「すごいね、うちは彼氏が並ぶのダメな人だからさ」
A「あ、そうなんだ?」
B「ひどいんだよ!この前だってさ…」

いつの間にかBさんの彼氏の話になってしまいました。
もしかして、Aさんは食べたパンケーキの感想をもっと事細かに伝えたかったかもしれません。行列を並んだことよりもパンケーキに添えられてたフルーツが絶品だったなんて話を考えていたかもしれません。

しかし、会話の主導権はいつの間にかBさんに移りました。
でも、それは(多少の意図はあるかもしれないですが)自然な会話の流れなのです。どうしても伝えたかったら最後のAさんは「そうなんだ?」とBさんの彼氏の話を膨らますのではなく「あ、でも並ぶ価値あるほど美味しかったよ!特にフルーツが添えられて…」なんて流れを戻すかもしれません。また、フルーツがそこまで重要事項でないならそのまま彼氏の愚痴大会になるかもしれません。

台本の会話も予測不可能

先ほどの会話は少し極端な例かもしれないですが、会話をしているという点では台本上のやり取りと同じです。私たちが生きた言葉で話しているようにキャラクターも決められた台詞ではなく生きたやり取りをしてます

それがたまたま作られた流れなのでどうしても未来は決まっているのですが、キャラクター自身は未来を知らないです。ですので、相手の質問に考えたり、驚いたり、悩んだり色々な反応をした上で返事をしているはずです。

エチュードだと上手く喋れる人

エチュードというものをご存知でしょうか?詳しいことはまた別の機会にご紹介するとして…簡単に言ってしまえば「アドリブ芝居」のことです。

脚本が決まっておらず設定のみが決まっているものや、設定さえも決まっていないこともあります。そんな中で役者が役や状況を理解しそれを相手と共有し即興の物語を作るのです。

「アドリブ」となると頭の回転のはやい熟練の役者があらゆる引き出しを駆使して、突拍子もない面白い舞台をやる、なんて難しいイメージがあるでしょうが、実は初心者にも効果的なレッスンになるのです

実際にレッスンで取り入れているところも多くストーリーがグダグダになることは多々ありますが、面白さよりも「会話をする」ということを目的にしたらかなり効果的なレッスンになります。そして、エチュードだと生き生きと台詞が喋れている人も多いです。

このような現象が起きるのはなぜでしょうか?

それは相手の台詞をアンテナを張って聞いているからです

エチュードには勿論筋書きがありません。どこに転がるかわからないのです。ですので役者は相手の台詞を聞いて、理解し、反応し返しているのです。この一連の流れは私たちが普段行っている会話と変わりません

ただエチュードの場合は自分でない誰かである、というだけ。
なので、自然と台本に頼ることなく会話するのです。

ですが、台本にとらわれていると自分の台詞ばかりをどう言おうかと考えてしまいます。
そうではないのです。重要なのは、相手の台詞を聞いて反応をすることです

稽古で何度も同じ台詞のやり取りをしていても、そこにいるキャラクターにとっては新鮮なやり取りなのです。

相手の台詞を聞いて、それに反応をしよう
そうすれば自然とちゃんとした台詞が喋れます

台詞をどう読むか、ではなく、どう喋るか。そして、その糸口は相手の台詞を聞くことにありそうですね。何かのヒントになったでしょうか?

それではまた次のレッスンでお会いしましょう!